長期優良住宅には、耐久性があって、快適に過ごせるうえ、地球にも優しいなど、たくさんの魅力が詰まっています。
しかし、中には「長期優良住宅はいらないよ、必要ない!」とおっしゃる方もいらっしゃいます。本当にそうなのでしょうか?
この記事では、静岡県東部で注文住宅を手がけている臼幸産業が、本当に長期優良住宅はいらないのか、それとも必要なのか、
また、長期優良住宅とZEH・エコハウスなどとの違いについても詳しくご紹介します。
ぜひ、後悔しない住まい選びの参考にしていただければ幸いです。

 

◎長期優良住宅って何?

長期優良住宅は環境負荷が少なく、長期間の居住に耐えうる特性を持つ住宅です。
これには、省エネルギー性や耐震性、さらには耐久性が備わっています。

 

●長期優良住宅の定義・基準

長期優良住宅には、国が設定した一連の基準があり、それに適合した住宅のみが認定を受けることができます。
長期優良住宅の基準には以下のような要素が含まれます。

 

1. 耐震性 : 日本は地震が頻発する国なので、耐震性は非常に重要なポイントです。
                    耐震基準をクリアした住宅は、地震による大きなダメージが少ない設計になっています。

                   ・耐震等級3の取得

                   ・大規模地震時の地上部分の各階の安全限界変形の高さに対する割合をそれぞれ1/40以下とすること

                   ・免震建築物とすること

                    上記3つのいずれかの処置を講じていること

 

2. 省エネルギー性 : 省エネ性能や自然素材の使用、リサイクル性能など、環境に配慮した設計が求められます。

                                         ・断熱等性能等級5以上 取得

                                          ・一次エネルギー消費量等級6 取得

                                           上記2つを満たしていること

 

3. 維持管理・更新の容易性 : 内装や設備について、維持管理を容易に行うために必要な措置が講じられている必要があります。
                                                 この性能を備えた住宅は、清掃・点検・補修・更新作業がしやすく、コストも削減することができます。

                                                           ・構造躯体等に影響を与えることなく、配管の維持管理を行うことができること

                                                           ・更新時の工事が軽減される措置が講じられていること

                                                            上記2つを満たしていること

 

4. 劣化対策 :  住宅の基本構造が数世代に渡って使用可能であることが必要です。

                           ・劣化対策等級3相当 取得

                           ・床下及び小屋裏の点検口を設置

                           ・床下空間に330mm以上の有効高さを確保

                             上記3つを満たしていること

 

5. 住戸面積 : 住戸の面積が一定以上であり、良い居住環境が確保されている必要があります。

                          ・75㎡以上

 

 

6. 居住環境 : 建築時から将来にわたる維持保全についての計画が整っていることが必要です。

                          ・所管行政庁が審査する

 

 

7. 維持保全管理 : 建築時点で、定期的な点検・補修等に関する将来を見据えた計画が策定されている必要があります。

                                    ・少なくとも10年ごとに点検を実施すること

                                    ・地震時及び台風時に臨時点検を実施すること

                                     上記2つを満たしていること

 

 

8. バリアフリー性 : バリアフリーへの改修が可能な設計であり、
                                   居住者のライフスタイルに合わせて間取りが変更できる設計がされている必要があります。

                                         ・戸建て住宅への適用なし

 

9. 可変性 : 居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。

                       ・戸建て住宅への適用なし

 

 

10. 住宅履歴情報の整備 : 長期優良住宅に認定された住宅はその建築及び維持保全の状況に関する記録を作成し、 
                          これを保存しておかなくてはなりません。

                                                      ・長期優良住宅認定申請書および添付図書

                                                      ・意匠関係図書

                                                      ・構造関係図書

                                                      ・仕様関係図書・設備関係図書・設備機器関係図書 等

                                                         上記の作成・提出を行うこと

 

 

認定を受けるためには、指定された申請手続きを経て専門の審査機関による評価を受け、
上記の基準それぞれに定められた条件をクリアする必要があります。
この審査に通過すると、多くのメリットが得られるとともに、一定の補助金や税制優遇も受けられます。

 

 

 

◎「長期優良住宅はいらない」?

長期優良住宅には多くの魅力的な特徴がありますが、「それだけで選ぶべきなのか?」という疑問もあるでしょう。
今回は、その疑問にお答えしながら、長期優良住宅のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

 

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅には、税制や生活品質の向上につながる多くのメリットがあります。

 

・所得税の住宅ローン控除が優遇される

  長期優良住宅を所有すると、一般の住宅に比べて住宅ローンの税控除が優遇されます。
  これにより、年間の税負担が軽減されることが期待できます。
  具体的には、控除額が大きくなることもあり、家計にとっては大きな助けとなります。

 

・不動産取得税の軽減

  売却時には、不動産取得税の負担が軽減される可能性が高いです。これは資産面でも大きな優位性を持っています。
  売却時の税金が軽減されると、その分、手元に残る金額も増えるわけですから、非常に魅力的なポイントと言えるでしょう。

 

・固定資産税の減税期間延長

  一般的な住宅に比べて、固定資産税の減税期間が長く設定されています。
  これによって、長期間にわたって税金の負担が軽くなるのです。

 

・贈与税の非課税限度額が上昇

  長期優良住宅は世代間での住宅の移動がしやすく、贈与税の非課税限度額が高く設定されています。
  これにより、親子間での資産移動がスムーズに行えるのです。

 

・地震保険料の割引

  このタイプの住宅は耐震性に優れているため、地震保険料が割安に設定されるケースがあります。
  これも長期にわたる費用負担を考慮すると、大きなメリットとなります。

 

・金利の優遇

  特定の金融機関では、長期優良住宅の住宅ローンに対して金利が優遇されることがあります。
  金利が低いと、返済額も抑えられるため、家計に優しいと言えます。

 

・補助金の適用

  長期優良住宅は、地域型グリーン化事業などの補助金に適用される場合があります。
  これにより、初期費用の一部が補填され、負担が軽くなる可能性があります。

 

・資産価値の保持

  売却する際も、長期優良住宅であればその資産価値が維持されやすいとされています。
  これは、将来的に住宅を手放す可能性がある場合にも、非常に重要なポイントです。

 

これだけ見ても、長期優良住宅は多くのメリットを持っていることがわかります。

 

長期優良住宅のデメリット

しかし、一方でいくつかの注意するべきデメリットも存在します。

 

・認定取得に申請費用がかかる

  長期優良住宅の認定を受けるためには、一定の申請費用が必要です。
  この費用は、初期費用として計上する必要があり、それが負担になる場合も考えられます。
  特に、資金計画が厳しい場合、この費用が大きなハードルとなることも。

 

・認定取得に時間がかかる場合がある

  申請から認定までのプロセスには時間がかかる場合があります。
  その期間中に、他の住宅選択肢を探す余裕がなくなる可能性も考えられます。
  また、その間に新しい住宅テクノロジーや制度が登場するかもしれません。

 

・初期費用が高い

  一般的な住宅に比べ、長期優良住宅は初期投資が高くなることがあります。
  特に、耐震性や省エネルギー性などの高性能を備えた住宅は、その性能を発揮するための設備や構造が高額です。

 

・維持保全計画に沿った定期点検や修繕が必要

  長期優良住宅は、長期間にわたって住むことを前提としています。そのため、定期的なメンテナンスが必要となります。
  これには点検や補修、場合によっては部分的なリノベーションも含まれるため、時間と費用がかかります。

 

これらのデメリットに加えて、長期優良住宅が本当に必要なのかを考える際には、
自分のライフスタイルや計画も考慮する必要があります。
例えば、将来的に転居する可能性が高い、または短期間で住み替える予定がある場合、
長期優良住宅の必要性は低くなってしまうので、注意が必要です。

 

◎長期優良住宅がいらない人

長期優良住宅は多くのメリットがありますが、それが全ての人に適しているわけではありません。
特定の状況やニーズによっては、他の選択肢が良い場合も考えられます。

 

・短期間での住み替えを検討している人

  短期間での住み替えを考えている方にとって、長期優良住宅は最適な選択ではないかもしれません。
  長期優良住宅は、その名の通り長期間快適に住むための設計がされています。
  そのため、短期間で住む場合にはそのメリットを十分に活かせない可能性が高いです。

・初期費用を抑えたい人

  長期優良住宅は、耐久性やエコ性、快適性に優れた材料を使用するため、初期費用が高くなる場合があります。
  初期費用を抑えたい方には、スタンダードな住宅がおすすめです。

 

◎長期優良住宅が向いている人

一方で、長期優良住宅は合う人にとってはとても多くのメリットをもたらします。

 

・長期間同じ住まいに住む予定の人

  長期優良住宅は、名前にもあるように、長期間にわたって同じ住宅で生活することを前提として設計されています。
  耐久性が高く、優れた断熱性や気密性が確保されているため、将来的に発生する修繕費用も最小限に抑えられます。
  長い期間、同じ住まいでの生活を考えている方にとって、経済的にも心地よくもあり、非常に賢い選択と言えるでしょう。

 

・環境に配慮したい人

  長期優良住宅は、環境に対する影響も少ない住まいです。エコロジカルな観点からも、エコロジカルな観点からも優れています。
  例えば、再生可能エネルギーの利用や高性能な断熱材の使用など、地球に優しい技術が多く採用されています。   
  環境に優しさを求める人にとって、長期優良住宅は非常に適しています。
  これにより、CO2排出量の削減だけでなく、エネルギーコストも抑えられるため、環境とお財布にやさしい選択となるでしょう。

 

・生活の質を重視する人

  高い居住性が求められる現代において、長期優良住宅はその住み心地の良さでも注目されています。
  床暖房や高性能な断熱・気密性、さらには室内の音環境に至るまで、細部にわたって快適な住空間が設計されています。
  特に、家族との時間を大切にしたい、高齢になっても安心して暮らせる家を望むといった方には、理想的な住まいと言えるでしょう。

 

◎長期優良住宅とエコハウス、ZEHとの違い

長期優良住宅、エコハウス、そしてZEH(ゼロエネルギーハウス)といった各種住宅は、住宅市場でよく比較されます。
それぞれに明確な特徴、メリット、デメリットを持ち、選ぶべき住宅の種類は、
家族のライフスタイルや環境への配慮、コストなど多くの要因となります。

 

・エコハウスとは

  エコハウスは、環境に優しい素材を使っているだけでなく、地域の気候風土や敷地の条件、
  住まい方に応じて設計される、環境負荷の低い住まいです。
  そのため、自然エネルギーが最大限に活かされ、例えば太陽光発電などの再生可能エネルギーが積極的に取り入れられます。
  さらに、身近で手に入る地域の材料を選び、環境への負担を減らす工夫がされています。

  このようなアプローチによって、エコハウスは一般的な住宅よりもエネルギー効率が高く、持続可能な暮らしを実現します。
  この考え方に基づいて建てられるエコハウスは、環境に優しく、長期的にも経済的にもメリットがあります。

 

・ZEHとは

  ZEH(ゼロエネルギーハウス)は、エネルギーの生産と消費をほぼ均衡させることを目的とした住宅です。
  具体的には、太陽光発電などの方法で自宅でエネルギーを生成し、そのエネルギーで家庭をまかなう形を取ります。
  エコハウスや長期優良住宅に比べ、エネルギー効率に特化しており、
  将来のエネルギーコストを大幅に削減できるという大きなメリットがあります。
  しかし、その分、初期投資が高くなる場合があります。

 

◎まとめ

長期優良住宅、あなたにとってプラスかマイナスか

これまで紹介させていただいたように、各種住宅の特性を理解した上で、
自分自身の生活スタイルやニーズ、将来設計に照らし合わせて、最も適した選択をすることが重要です。
一概にどれが良いとは言えませんが、自分のライフスタイルや価値観に合った住まいを選べば、後悔は少なくなるでしょう。
この記事が、皆さんの「住まい選び」に少しでもお役に立てれば幸いです。

 

 

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